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アメリカの光と影-大好きな街オマハでの銃乱射事件

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こんにちは!

 

今日は私が暮らす国、アメリカの話です。気持ちはすでにポルトガルに飛んでいますが、ほかの国に移り住んでも、アメリカで過ごした時間を忘れないように書き留めておこうと思います。

 

私は縁あって、ネブラスカ州オマハで過ごした時期がありました。「ああ、ここで暮らしたら、もっとアメリカを好きになれるかもしれない」と思ったものです。

 

ウォーレン・バフェットが住む街

 

アメリカ合衆国のちょうど真ん中に位置するのがネブラスカ州で、その最大の都市がオマハです。地平線が見えるほど真っ平な草原が広がり、バッファローの群を見ることもできます。オマハ牛のステーキが有名ですが、日本の方には馴染みがないかもしれません。

 

株取引をする人なら、投資家ウォーレン・バフェットを連想するかもしれませんね。『オマハの賢人』とか、『オマハの予言者』との異名を持つバフェット氏は、大成功した今も、オマハに住んでいます。友だちが「ここがバフェットの家だよ」と通りすがりに教えてくれましたが、億万長者にしては意外と普通の家でした。本当のお金持ちは意外と堅実な暮らしをしていたりします・・・。

 

そんなオマハには、家族ぐるみの友人(アレンとメアリー夫妻)が住んでおり、そのまた友人(ドン)がコーヒーショップを経営しています。2007年当時、コーヒーショップ経営に興味のあった私は、アレンとメアリーの家に居候しながら、ドンのお店で修業させてもらいました。

 

 

アメリカ中西部でのカルチャーショック

 

ほんの3か月でしたが、喜怒哀楽にあふれた時間は、今でも鮮明に思い出します。はじめてカリフォルニアに来たときとは違うカルチャーショックがありました。

 

ロサンゼルスが東京なら、オマハは東北の地方都市という感じです。LAには多様な人種がそれぞれ独立したコミュニティーを形成していますが、オマハでは、白人系が大多数を占めており、アジア人にはほとんど出会うことはありませんでした。

 

私が関わった人たちは、みな気さくで、礼儀正しく、親切でした。コーヒーショップにくるお客さんの中には、「君は少しアクセントのある英語を話すけど、生まれはどちら?」と聞いてくる人がいました(この聞き方からも気品と相手へのリスペクトを感じます)。「日本です」と答えると、「日本はどんな国?アメリカはどう思う?」と興味津々でいろいろ質問されました。

 

また、店内にアフリカ系の人がいたときも、他のお客さんが「失礼ですが、どちらからいらしたか聞いてもいいですか?」とたずね、「ギニアです」と答えると、「ウェルカム・トゥ・ザ・ユーエス!!!」と笑顔で両手を広げていました。純粋な好奇心なんだ・・・と微笑ましかったです。

 

ロサンゼルスでは、みんな忙しいからか、すでにいろんな文化に精通しているからか、興味がないからなのか、このような『異文化交流』的立ち話などは経験したことがありません。良い意味でカルチャーショックでした。

 

 

古き良き日本のようなエピソード

 

アレン一家との食事の時間も楽しいものでした。その日あった些細な出来事をお互い話したり、食後、コーヒーを飲みながらボードゲームをしたり・・・。

 

アレンのお母さんがあるとき話してくれました。「今日ね、私、ドジしちゃったの。スーパーに買い物にでかけたとき、車の中にカバンを置いたまま、サイドドアを開けっ放しでお店に入っちゃって・・・。15分くらいは経ってたはずなんだけど、車に戻ったら、その横にひとりの女性が立っていて、私を捕まえて、『あ~、戻ってきた~。良かった~。カバンが置いてあるから、ドア閉めるか迷って、車の鍵がカバンの中にあったらどうしようって・・・だから、ずっと見張ってたんです』って。ありがたい話よね~」って。

 

なんか、古き良き時代って感じじゃないですか!?

 

私がコーヒーショップの仲間に、「オマハが好きになったから、こっちに住みたい!カリフォルニアにいる夫を呼び寄せたいけど、仕事見つかるかな?」と何気なく話すと、次の日に「こんな仕事募集してたよ」と情報を持ってきてくれました。

 

この人たちは、私なんかのことをすごく気にかけてくれてるんだ~~とうれしかったのを覚えています。同時に、表面的な付き合いに慣れてしまっている自分にも気づき、はっとさせられました。

 

以下は、オマハで撮った実際の写真です↓

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コーヒーショップの愉快な仲間たち

 

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お気に入りのハンバーガーやさん。ナプキンの上に直置き(皿なし)! 究極のエコですね~~~(笑)

 

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貝類が好きと言うと、アレンがフライド・クラムのお店に連れて行ってくれました。超アメリカン!!!

 

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フライド・キャットフィッシュ(なまず)もイケますよ~~~

 

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コーヒーショップで仲良くなったアシュリーがお寿司屋さんに招待してくれました!

 

 

素敵なご夫婦からもらった言葉

 

オマハの人たちから、忘れられない『言葉の宝物』も、もらいました。

 

メアリー(アレンとの夫婦関係について):「アレンが機長で、私が副機長。二人一緒じゃなきゃ飛行機は飛ばせないの(Allen is the captain, I am co-captain. We fly our plane together)」

 

アシュリーの旦那さん(私が彼女のどこが好き?と訊ねると):「彼女は人として僕がほしいものをすべて持っているんだ(She has everything I wish I had)」

 

めっちゃ、素敵じゃないですか!?

 

こんな素敵なご夫婦に逢って、私も夫へのリスペクトを忘れない努力ができるようになりました。

 

 

アメリカの影〜多発する銃乱射事件

 

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オマハ滞在中に、悲しいこともありました。銃乱射事件が起きたのです。アメリカでは、誰でも簡単に銃を購入でき、頻繁にこのような痛ましい事件のニュースを目にします。でも、こんなに身近で体験するのは初めてでした。

 

事件が起きたのは、私が働いていたコーヒーショップのモールに併設するデパートでした。その日、私は休みでしたが、同僚が被害に遭っていないか、居ても立っても居られませんでした。

 

メアリーの知り合いのご家族も被害者の一人となってしまいました。犯人の若者を止めようとして、撃たれてしまったそうです。彼の善意を信じていたんですね。本当に悲しいです。

 

事件後モールは3日間閉鎖され、街中が悲しみに包まれました。もちろん、モール内にあるコーヒーショップも営業できず、私も暗い気持ちで家にいました。

 

 

「オマハの人たちは弱くない」

 

いざ、モールが再オープンし、初出勤の日、私はアレンに言いました。「危険なモールになんて誰も来ないよ!」。するとアレンは、こう応えました。「オマハの人たちはそんなに弱くない!あんな狂った若者(犯人)に俺たちの街をこれ以上めちゃくちゃにはさせない!」と。

 

コーヒーショップ(モール)に出勤すると、驚きの光景が広がっていました。

 

いつも以上に、たくさんの人たちが買い物をしていたのです。みんな大きな紙袋をたくさんぶら下げて・・・。

 

コーヒーを買いに来てくれた人たちも口々に「これからもこのモールをサポートするよ」とか、「あなたも負けずにがんばってね」とか言って、チップをたくさんくれました。中には、コーヒー一杯に20ドル札を置いていった人もいます。

 

 

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モールはオープンしても、現場となったデパートはさらに一週間ほど閉鎖されました。その通路口にはたくさんのお守りが・・・

 

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「Omaha will survive」の垂れ幕

 

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お互いサポートし合って立ち直ろうという雰囲気に包まれていました

 

私がオマハを愛する理由がわかっていただけたでしょうか。こんな素敵な人たちに出会え、影響を受けることができた私はとてもラッキーだと思います。一方で、アメリカが抱える銃問題を目の当たりにし心が痛みます。

 

今年は、子どもたちが立ち上がりました。権力のある大人たちは真摯に受け止め、早くなんとかしてほしいものです。

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